アパレル業界のInstagram実態調査2026|リール1.2万本を集計

アパレル系Instagramアカウント507件が1年間に投稿したリール12,304本を集計した。エンゲージメント率の中央値は0.70%、尺の中央値は24.9秒。PR投稿のエンゲージメント率は非PR投稿の半分以下だった。運用の基準値として使える数字をまとめる。

この記事の要点

本記事は、AI動画分析ツール「RoxDirector」を提供するRox株式会社が運営しています。掲載している調査データも、同社が収集・分類したものです。

アパレルのInstagram運用には、参照できる基準値がない。「エンゲージメント率は何%あれば普通なのか」「リールは何秒が適切なのか」を社内で説明しようとすると、根拠が出てこない。

Rox株式会社が自社で収集・分類しているInstagramの公開投稿データから、ファッション系507アカウントが2025年10月〜2026年10月に投稿したリール12,304本を集計した。運用の基準値として使える数字を公開する。

この調査は何を集計したのか?

ジャンル判定で「ファッション」に分類されたInstagramアカウントのうち、フォロワー1,000人以上の507アカウントが2025年10月1日〜2026年10月22日に投稿したリール12,304本を集計対象とした。

代表値はすべて中央値を使っている。平均値はフォロワーの少ないアカウントの極端な数値に引っ張られ、実態からずれるためである(本データでも平均は中央値の3〜5倍に膨らんだ)。さらに、投稿数の多いアカウントに結果が支配されないよう、アカウントごとに中央値を出し、その中央値を業界の代表値とした。アカウント単位で比較する集計は、1アカウントあたりの数値が安定するよう期間内に5本以上投稿した494アカウント・12,276本に絞っている。投稿単位で比較する集計(動画尺・PR投稿)は12,304本すべてを使う。

項目値
対象アカウント数507(うちアカウント単位の集計対象 494)
対象投稿数12,304本(うちアカウント単位の集計対象 12,276本)。すべてリール
フォロワー数の中央値78,121(下位25%: 28,479 / 上位25%: 167,364)
1アカウントの投稿数の中央値約1年で19本(月あたり約1.6本)

エンゲージメント率(再生ベース)とは、(いいね数+コメント数)÷再生数×100で求めた数値である。フォロワー数は取得時点の値であり過去の投稿との対応がずれるため、本調査では再生ベースを主の指標とした。

アパレルのリール、基準値はどれくらいか?

エンゲージメント率(再生ベース)の中央値は0.70%、再生数の中央値は42,818回、尺の中央値は24.9秒だった。自社アカウントがこの数字を超えていれば、アパレル系の中では平均以上と判断してよい。

指標下位25%中央値上位25%
エンゲージメント率(再生ベース)0.03%0.70%1.37%
エンゲージメント率(フォロワーベース)0.02%0.36%1.05%
再生数—42,818回—
動画の尺—24.9秒—
PR投稿の比率—8.0%—

上位25%のライン(1.37%)は中央値の約2倍あり、同じアパレルのリールでも数字の出ているアカウントとそうでないアカウントがはっきり分かれている。なお下位25%の0.03%は、再生数の取得が一部に限られるアカウントが含まれるため実態より低く出ている可能性がある。下限値の引用は避けてほしい。

今日の1アクション:直近20本のリールについて、(いいね+コメント)÷再生数を計算し、中央値を0.70%と比べる。

誰が運用しているアカウントが伸びているのか?

エンゲージメント率が最も高いのはファッションメディア(1.35%)とファッション専門家(1.18%)で、基準値0.70%の1.7倍以上だった。最も低いのはコーデ垢の0.34%である。

発信者タイプアカウント数ENG率(再生)フォロワー比再生数PR比率
ファッションメディア361.35%0.21倍6.5%
ファッション専門家141.18%0.58倍0.0%
ブランド・ショップ公式630.70%0.36倍0.0%
スタイリスト220.70%0.49倍0.0%
ショップ店員・バイヤー1030.64%0.81倍3.4%
その他230.59%0.64倍11.1%
メンズファッション150.58%1.03倍9.7%
ファッション垢1710.52%0.52倍20.0%
コーデ垢440.34%0.75倍18.8%

アカウント数で最も多いのはファッション垢(171件)とショップ店員・バイヤー(103件)で、両者で母集団の過半を占める。アパレルのInstagramは、ブランド公式(63件)よりも個人の発信者が数のうえで主役になっている。

PR比率にも差が出た。ファッション垢20.0%・コーデ垢18.8%に対し、ブランド・ショップ公式とスタイリスト、ファッション専門家は中央値0.0%である。そしてPR比率の高い2タイプが、エンゲージメント率では下から1番目と2番目になっている。

今日の1アクション:自社アカウントがどのタイプに当たるかを決め、そのタイプの数字と比べる。全体の0.70%ではなく、同じタイプの数字が比較対象になる。

どんな投稿が効いているのか?

最もエンゲージメント率が高い投稿スタイルは日常・密着Vlog(2.88%)で、最も投稿数の多いコーデ紹介(0.68%)の約4.2倍だった。

投稿スタイルアカウント数投稿数ENG率(再生)再生数の中央値
日常・密着Vlog122352.88%56,417
告知・PR501,7081.16%59,691
解説・ノウハウ228000.86%21,293
コーデ紹介2746,2520.68%40,888
ショップ・古着紹介123410.64%15,953
購入品・ハウル285980.55%33,624
商品・サービスレビュー327240.46%55,612
着回し225380.42%71,084
コーディネート提案339170.35%33,577

この表の読みどころは投稿数とエンゲージメント率が逆になっていることである。コーデ紹介は274アカウント・6,252投稿と全体の半分を占めるが、エンゲージメント率は0.68%で基準値とほぼ同じ。一方、日常・密着Vlogは12アカウント・235投稿しかないのに2.88%を記録している。

ただし、日常・密着Vlogは12アカウント235投稿と件数が少ない。数字の幅が大きい可能性があり、確定した傾向として扱うには追加の検証が必要である。

再生数で見ると順位が変わる。着回しが71,084回で最大、次いで告知・PR(59,691回)、日常・密着Vlog(56,417回)となる。リーチを取りたいのか、反応を取りたいのかで選ぶ型が変わる。

今日の1アクション:コーデ紹介しか出していないなら、次の4本のうち1本を「日常・密着Vlog」か「解説・ノウハウ」に替えて比べる。

リールの尺は何秒が最も効くのか?

※ このセクションは投稿単位の集計(12,299本・尺が取得できた投稿)。

エンゲージメント率が最も高いのは60〜89秒(0.87%)で、最も低いのは7秒以下(0.46%)だった。「短いほど良い」は、アパレルのリールには当てはまらない。

図1:動画尺別 エンゲージメント率(再生ベース)の中央値 0.9% 0.45% 0% 0.46 0.60 0.54 0.66 0.87 0.75 7秒以下 8-14秒 15-29秒 30-59秒 60-89秒 90秒以上 641本 2,407本 3,899本 3,243本 1,149本 960本 出典:Rox自社収集データ(2025年10月〜2026年10月/アパレル系Instagramリール12,299本)

再生数の中央値も60〜89秒が66,682回で最大だった(7秒以下は42,597回)。投稿数で見ると15〜29秒が3,899本と最も多く、母集団は短尺に寄っている。つまり多くのアカウントが投稿している尺と、数字が出ている尺がずれている。

90秒以上になると0.75%に下がり、再生数の中央値も34,851回と全区分で最低になる。伸ばせば伸ばすほど良いわけではなく、1分前後が折り返し地点になっている。

今日の1アクション:15秒で作っているコーデ紹介を、同じ内容のまま60〜80秒に組み直して1本試す。

フォロワーが増えると、届きやすくなるのか?

逆である。フォロワー数に対する再生数は、フォロワー1万未満の1.54倍から50万以上の0.18倍まで、約8分の1に落ちる。フォロワーベースのエンゲージメント率も1.46%から0.28%へ、約5分の1に下がる。

図2:フォロワー規模が上がるほど、届く率は落ちる 2.0 1.0 0 1.54 0.81 0.50 0.48 0.18 1.46 0.50 0.23 0.35 0.28 1万未満 1万〜5万 5万〜10万 10万〜50万 50万以上 49件 131件 108件 183件 23件 フォロワー比再生数(倍) ENG率(%) 出典:Rox自社収集データ(2025年10月〜2026年10月/アパレル系Instagramアカウント494件)

フォロワー比再生数とは、1投稿あたりの再生数をフォロワー数で割った値である。1.0を超えていれば、フォロワー数を上回る人数に届いていることになる。

1.0を超えたのはフォロワー1万未満(1.54倍)だけだった。1万〜5万で0.81倍、5万を超えると0.5倍前後で頭打ちになる。フォロワーを増やしても、増えた分だけ届く人数が増えるわけではないという結果である。

一方で再生数の絶対値は、1万未満の5,902回から50万以上の192,325回まで増え続けている。率は落ちるが、人数は増える。どちらを目標にするかで評価が逆になるため、社内の目標設定では必ずどちらの指標かを明示すべきである。

フォロワー規模アカウント数フォロワー比再生数ENG率(フォロワーベース)再生数の中央値
1万未満491.54倍1.46%5,902回
1万〜5万1310.81倍0.50%17,489回
5万〜10万1080.50倍0.23%36,479回
10万〜50万1830.48倍0.35%88,330回
50万以上230.18倍0.28%192,325回

今日の1アクション:直近の投稿の再生数をフォロワー数で割る。0.5を下回っていたら、フォロワー以外の層に届いていない。

PR投稿はどれだけ数字が落ちるのか?

※ このセクションは投稿単位の集計(12,304本)。

PR投稿のエンゲージメント率中央値は0.34%、非PR投稿は0.72%で、PR投稿は半分以下だった。再生数の中央値もPRが43,607回、非PRが52,163回で約2割低い。

区分投稿数ENG率(再生)ENG率(フォロワー)再生数の中央値尺の中央値
PR投稿2,240本0.34%0.12%43,607回30.0秒
非PR投稿10,064本0.72%0.42%52,163回24.8秒

全投稿に占めるPR投稿の割合は18.2%、アカウント単位で見たPR比率の中央値は8.0%だった。つまり一部のアカウントがPR投稿に集中している(ファッション垢20.0%、コーデ垢18.8%に対し、ブランド公式とスタイリストは0.0%)。

ここで注意が必要である。この差は「PR表記を付けると数字が落ちる」ことを示すものではない。PR投稿は尺が長く(30.0秒 vs 24.8秒)、商材説明が入るため構成も異なる。投稿の中身の差とPR表記の効果を、このデータでは分離できていない。

なお、ステルスマーケティング規制(2023年10月施行)により、広告であることを隠した投稿は景品表示法違反となる。数字が落ちるからといってPR表記を外す判断は、規制違反にあたる。

今日の1アクション:PR投稿と通常投稿のエンゲージメント率を分けて集計し、差が0.38ポイント以上開いていないか確認する。

この調査の限界と注意点

本調査のデータには以下の制約がある。数字を引用する際は必ず併記してほしい。

自社のリールを中央値と比べる(診断ツール)

本調査の中央値をそのまま組み込んだ診断ツールを用意した。直近のリールの数値を入れると、同じ発信者タイプの中央値と比べた位置が出る。入力した値はブラウザ内でのみ計算され、外部には送信されない。

人

回

件

件

秒

自社のエンゲージメント率

—

同じタイプの中央値

—

中央値で計算した目安

—

目安は、同じ発信者タイプの中央値に自社の再生数をかけた「いいね+コメント」の件数です。適正値ではなく、比べるための数字としてご覧ください。エンゲージメント率(再生ベース)=(いいね数+コメント数)÷再生数×100。出典:Rox株式会社「アパレル業界のInstagram実態調査2026」(アパレル系Instagram 507アカウント・リール12,304本/2025年10月〜2026年10月)。

本調査の集計データ(CSV)を配布しています

本記事に掲載した全7表のもとになった集計データを、CSV形式で配布しています。自社アカウントの数字を横に並べて比較する用途にお使いください。

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まとめ:今日から始める1ステップ

アパレル系Instagramリールの基準値は、エンゲージメント率(再生ベース)の中央値0.70%、再生数42,818回、尺24.9秒である。そのうえで、本調査から読み取れる打ち手は3つある。

  1. 尺を伸ばす:60〜89秒が0.87%で最も高い。母集団は15〜29秒に寄っているため、ここに差を作る余地がある
  2. 型を1つ増やす:コーデ紹介は274アカウントが出しており差がつかない。日常・密着Vlog(2.88%)や解説・ノウハウ(0.86%)を1本混ぜる
  3. 評価指標を決める:フォロワーが増えると率は落ち、人数は増える。率と人数のどちらで評価するかを先に決める

今日の1ステップ:直近20本のリールについて、尺・型・エンゲージメント率の3列だけの表を作る。本記事の基準値と並べれば、次に変えるべき1点が決まる。

よくある質問

アパレル系Instagramのエンゲージメント率は、何%あれば平均的ですか?
本調査の母集団では、再生数ベースのエンゲージメント率の中央値が0.70%でした。上位25%のラインは1.37%です。フォロワー数ベースでは中央値0.36%です。自社アカウントが0.70%を超えていれば、アパレル系の中では平均以上と判断できます。
アパレルのリールは何秒がいいですか?
本調査では60〜89秒のエンゲージメント率中央値が0.87%で最も高く、7秒以下の0.46%が最も低いという結果でした。再生数の中央値も60〜89秒が66,682回で最大です。「短いほど良い」は、少なくともアパレル系のリールには当てはまりませんでした。
PR投稿はどれくらい数字が落ちますか?
本調査では、PR投稿のエンゲージメント率中央値が0.34%、非PR投稿が0.72%でした。再生数の中央値もPRが43,607回、非PRが52,163回です。ただしこれは投稿の種類による差であり、PR表記そのものが原因だと断定できるデータではありません。
投稿頻度はどれくらいが標準ですか?
本調査の母集団では、1アカウントあたりの投稿数の中央値が約1年で19本、月あたり1.6本でした。毎日投稿しているアカウントは母集団の中では少数派です。
この調査のデータはどこから取得していますか?
Rox株式会社が自社で収集・分類しているInstagramの公開投稿データです。ジャンル判定で「ファッション」に分類されたアカウントのうち、フォロワー1,000人以上の507アカウントを対象としています。無作為抽出ではないため、業界全体の母集団を代表するものではありません。